【為替リスク】円安で「外貨建て資産」を持っていたBさんの明暗

2025年9月13日

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芹沢慎一

こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。

最近の急激な円安で、「外貨建て資産を持っていてよかった」という声もあれば、「思ったほど得にならなかった」という声も耳にします。
今日は、私のところに相談に来たBさんのケースを例に、「円安時に外貨建て資産を持つことの明暗」について考えてみましょう。

Bさんのケース —— 円安の恩恵を受けた部分

Bさんは数年前から米国株の投資信託をコツコツ積み立てていました。
ドルベースでの運用リターンは年5%程度でしたが、円安が進んだことで、円換算のリターンは年10%以上に跳ね上がったのです。

つまり、「為替の影響」で、投資の成果が上乗せされた形です。
円だけで運用していた人との差が一気に開き、外貨建て資産を持つメリットを強く実感したといいます。

一方で気づいたリスク

しかしBさんには別の側面もありました。
子どもの留学資金をドル建ての保険商品で積み立てていたのですが、契約時より円安が進んでいたため、円で払い込む保険料の負担が想定以上に増えていたのです。

「外貨建て資産を持つ」ということは、為替の影響を受ける立場になるということ。
資産運用ではプラスに働いても、支出の場面ではマイナスになることがあるのです。

為替の影響を味方につける3つの視点

① 目的と期間を分けて考える

老後資金のように長期運用なら、為替の変動は一時的なノイズにすぎません。
しかし、数年以内に使う予定資金(教育費・住宅購入資金など)は、円安の影響で必要額が膨らむリスクを考慮する必要があります。

② 「外貨で資産を持つ」か「円で使うか」を意識する

投資目的が「海外旅行や留学費用」なら、ドル建て資産をそのままドルで使えば為替リスクはむしろヘッジになります。
逆に「円で使う」資金であれば、必要な時期が近づいたら早めに一部を円に戻すなどの調整が必要です。

③ 為替だけに頼らない分散を

株価や債券価格と同様に、為替も予測は困難です。
「円安で得をした」 「円高で損をした」と一喜一憂するのではなく、資産全体を円・ドル・ユーロなどに分散して持つことで、長期的に安定した資産形成を目指せます。

最後に

Bさんの事例は、「外貨建て資産は諸刃の剣」であることを教えてくれます。
為替に助けられることもあれば、想定外の負担につながることもある。
だからこそ、「目的」 「時期」 「通貨の使い道」を切り分けて考えることが大切なのです。

それでは、このブログを読んでくださった方に感謝を込めて。
また次の記事でお会いしましょう。