こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。
投資を始めると、少しでも早く成果を出したくて「もっと積立額を増やしたい」と考える人は多いものです。
しかし、生活とのバランスを誤ると、かえって精神的にも金銭的にも苦しくなり、投資そのものを続けられなくなることがあります。
今回は「投資額を増やしたことで生活が苦しくなったAさんのケース」を通して、投資と生活のちょうどよいバランスについて考えてみましょう。
ケース:Aさんの投資チャレンジ
30代会社員のAさんは、将来の不安から積立投資を始めました。
最初は月2万円のインデックス投資からスタート。生活に無理もなく、安心して続けられていました。
しかしSNSで「月5万円積み立てています」 「FIREを目指すならもっと投資すべき」といった情報を目にするうちに不安になり、「自分ももっと増額しなければ」と考えるように。
そこでAさんは、思い切って月5万円に積立額を増やしました。
生活が苦しくなる落とし穴
積立額を増やした当初は「これで資産形成が加速できる」と前向きでした。
ところが、数か月経つと以下の問題が生じました。
- 給料日前にお金が足りず、カード払いに頼ることが増えた
- 交際費や趣味を我慢するようになり、生活が窮屈に感じる
- 臨時支出(冠婚葬祭・家電の買い替えなど)に対応できず、結局リボ払いを利用してしまった
つまり「投資のために生活が崩れる」という本末転倒な状態に陥ったのです。
投資と生活を両立させる3つのポイント
このようなケースを避けるには、次の3つが重要です。
1. 生活防衛資金を確保してから投資額を増やす
最低でも 生活費3〜6か月分の現金 を確保したうえで投資を拡大すること。これがないと、臨時支出に対応できず、投資を取り崩すリスクが高まります。
2. 「余裕資金の◯割」というルールを作る
投資額は「収入 − 必要生活費 − 貯蓄(生活防衛資金や短期目標)」の余りから決めるのが基本です。
例えば「余裕資金の50%までを投資に回す」とルールを決めれば、無理なく続けられます。
3. 定期的に“家計のキャッシュフロー”を見直す
収入・支出は年によって変わります。転職、結婚、出産、住宅購入などライフイベントごとに、積立額を見直すことが大切です。
投資は“続けられること”が最優先
Aさんのように「投資額を増やしたい」という気持ちは資産形成に前向きな姿勢の表れです。
ただし、その結果生活が苦しくなり、投資を続けられなくなっては意味がありません。
投資で大切なのは、額よりも継続。
まずは自分にとって無理のないバランスを見つけ、長く続けられる仕組みを整えることが最優先です。
最後に
投資は“生活を豊かにするための手段”であり、決して“生活を犠牲にするもの”ではありません。
あなたもぜひ「続けられるかどうか」を軸に、投資額を決めてみてください。
それでは、次回のブログでまたお会いしましょう。