【投資の実践】海外ETFをポートフォリオに組み込む際の注意点

2025年9月10日

//

芹沢慎一

こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。

インデックス投資が広がる中で、投資信託に加えて「海外ETF(上場投資信託)」を活用する方も増えてきました。
低コストで幅広い資産に分散投資できるのが魅力ですが、投資信託とは違った注意点もあります。
今日は、その代表的なポイントを整理してみましょう。

為替リスクを意識する

海外ETFはドル建てで取引されるものが多く、円で投資する私たちにとっては為替変動の影響を受けます。

  • ドル高=円に戻すときにプラス要因
  • ドル安=リターンが目減りする可能性

投資対象の値動きに加えて、為替の変動がダブルで影響してくることを理解しましょう。

売買手数料・為替手数料を確認する

海外ETFは国内投資信託と比べて売買コストがかかります。
証券会社によっては、

  • 売買手数料(1回数百円〜数千円)
  • 為替手数料(1ドルあたり数銭〜数十銭)

が発生します。積立のように小口で頻繁に売買するとコストが重くなるため、まとまった金額で取引するのが基本です。

分配金の課税に注意

海外ETFは年数回の分配金が出るタイプが多いですが、このとき二重課税が起こる場合があります。

  • 現地(米国)で10%課税
  • 日本でさらに課税(20.315%)

税制上の控除で一部は取り戻せるものの、投資信託(自動で再投資)と比べると効率が落ちることもあります。

取引時間の違い

米国ETFの場合、取引時間は日本の夜間(23時〜翌朝5時)です。
そのため、リアルタイムで売買するには夜更かしが必要
一方で、指値注文や成行注文をうまく使えば、必ずしも起きて待つ必要はありません。

商品ラインナップの豊富さに惑わされない

海外ETFは数千種類あり、魅力的に見えるテーマ型商品も多数存在します。
しかし、テーマ株ETFやレバレッジ型ETFは値動きが激しく、長期投資には不向きな場合が多いです。

まずは、

  • S&P500
  • 全世界株式
  • 全世界債券
    といった王道のインデックスETFから検討するのが無難です。

最後に

海外ETFは、低コストでグローバルに分散できる強力なツールです。
しかし、為替・コスト・税制・取引時間といった“国内投資信託にはない注意点”を理解したうえで使うことが欠かせません。

投資の選択肢が広がるのは魅力的ですが、「便利だから」ではなく「ライフプランに合っているか」を軸に判断してください。

投資商品は道具にすぎません。
目的とリスク許容度に合った使い方をすれば、海外ETFはあなたのポートフォリオをより強固なものにしてくれるでしょう。