【つみたてNISAを“老後生活費”にどう使う?】シミュレーションで見えてきたこと

2025年8月26日

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芹沢慎一

こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。

「老後資金2000万円問題」という言葉が話題になって久しいですが、実際のところ、老後に必要なお金は家庭やライフスタイルによって大きく違います。
そこで今日は、つみたてNISAを老後生活費の補完としてどう取り崩していけるかを、具体的なシミュレーションを交えて考えてみましょう。

老後の生活費、いくら必要?

まず基本的な数字から。
総務省の家計調査によると、夫婦2人の高齢無職世帯の支出は月およそ 26万円前後
一方、公的年金の平均受給額は夫婦合計で 20〜22万円程度

つまり、月3〜6万円ほど不足するケースが多いのです。
ここをどう補うかが、老後資金の出口戦略で大きなポイントになります。

シミュレーション:つみたてNISAを老後資金に使った場合

前提条件

  • 30歳から毎月33,333円(年40万円)を20年間積み立て
  • 年平均リターン 4%
  • 50歳で積立終了、資産額は約1,200万円
  • 65歳から取り崩し開始

ケース① 毎月5万円取り崩す場合

  • 年60万円取り崩し
  • 20年で約1,200万円がゼロになるイメージ
  • 65歳から85歳までの20年間、年金にプラスして「月5万円の上乗せ」が可能

公的年金と合わせれば、生活費の不足分をカバーできる現実的なプランです。

ケース② 毎年3%だけ取り崩す場合

  • 年36万円取り崩し
  • 運用しながら取り崩すため、元本を大きく減らさずに済む
  • 仮に85歳以降も生きた場合でも資産が残る可能性が高い

「長生きリスク」への安心感を持ちたい人向けです。

ケース③ 70歳から一気に500万円を使う場合

  • リフォームや旅行、子どもや孫への贈与などに活用
  • 残りを少額ずつ取り崩す形で調整

「楽しむお金」と「生活を守るお金」に分ける発想です。

出口戦略を考えるときの注意点

  1. 年金の受給額を把握する
    ねんきん定期便や年金ネットで確認して、どれくらい補う必要があるか見える化します。
  2. 取り崩し方を“ルール化”する
     「毎年◯%」や「毎月◯万円」など、感情に左右されない仕組みを作ります。
  3. 生活防衛資金は別で持っておく
    投資資産を全部老後資金に頼ると、相場の下落局面で困る可能性があります。

最後に

つみたてNISAは「積み立ての仕組み」としてはシンプルですが、老後の出口戦略を考えると一気に現実味を帯びます。

  • 月5万円の上乗せで生活を安定させる
  • 年3%ルールで長生きに備える
  • まとまった使い道にあてる

どのプランを選ぶかは、あなたの人生設計次第です。
「積み立てる」から「使いこなす」へ——これが老後資金戦略の本質だと私は考えています。

今日の気づきが、少しでもあなたの“安心”につながれば嬉しいです。またお会いしましょう。