【事例紹介】シンガポールの夜景に学んだ、資金繰りの真実

2025年8月19日

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芹沢慎一

こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。

今回は、少し特別な体験談をお届けします。
私が海外で担当したコンサル案件のひとつ、シンガポールでの資金繰り改善プロジェクトです。
現場での数字と向き合う時間はもちろんですが、ふと窓の外に目をやったときに見えた街の景色が、今でも心に深く残っています。

海外展開の陰に潜む「資金繰りの落とし穴」

クライアントは、日本からシンガポールに進出してきた製造系の中小企業。
現地では受注も堅調で、業績は「黒字」。
しかし、その裏では“売掛金の回収遅延”により、資金ショートの危機に直面していました。

海外では取引条件が国ごとに異なり、特に新規参入企業は「現地の慣習」を見誤ることがあります。
今回のケースでは、請求から回収まで90日以上かかる取引が常態化していたのです。

「売上はあるのに、キャッシュが足りない」
これは海外展開でよくある典型的な落とし穴でした。

解決の糸口は「現地金融機関」との関係づくり

そこで私たちが取り組んだのは、

  • 現地金融機関との信用ライン開拓
  • 回収期間を踏まえた資金繰り表の再設計
  • 一部顧客との条件交渉(分割前払いの導入)

の3つです。

特に大きかったのは、現地銀行との「顔つなぎ」でした。
日本の実績を説明しつつ、シンガポール法人の信用力をどう補完するか。
数字だけでなく、「この会社が今後も成長する」というストーリーを描き、経営陣と一緒にプレゼンを行いました。

結果、短期運転資金の枠を確保することができ、資金ショートの危機を脱することができたのです。

夜景を眺めながら考えたこと

プロジェクトが一段落した夜、マリーナベイの夜景を見下ろしながら、私はひとりホテルの窓辺に座っていました。
光り輝く高層ビル群、川面に映る無数の灯り。
その華やかさの裏で、各企業が日々キャッシュフローと格闘している。

「お金は血液だ」とよく言われますが、まさにその通りだと感じました。
血が滞れば、どんなに立派な企業でも動けなくなる。
一方で、血流がうまく回れば、新しい市場に挑戦し、さらに広がりを見せることができる。

数字に向き合う仕事でありながら、この夜景が私に教えてくれたのは「お金の流れの美しさ」でした。

最後に

海外でのコンサルティングは、数字の分析以上に「文化」と「慣習」を理解することが不可欠です。
そして、その違いを受け入れながらも、普遍的な金融の原則——「キャッシュの流れを止めない」ことを守る。
それが企業を次のステージへと導くカギだと、シンガポールで改めて実感しました。

異国の夜景に心を浸しながら感じたことを、こうしてブログに残すことで、また新しい読者の方と共有できたら嬉しいです。

それでは、次の記事でまたお会いしましょう。 #慎一のマネー講座 もよろしくお願いします!