【資金繰り編】 「お金は入っているのに、足りない?」資金繰り改善の基本と実践法

2025年8月14日

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芹沢慎一

こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。

今日は、日々の企業活動でよく聞くお悩み——「黒字なのにお金が足りない」という資金繰りの話を、わかりやすく整理します。

黒字倒産の不思議

「決算は黒字だったのに、なぜか支払い資金が足りない」
こんなケース、意外と多いんです。

原因は単純。利益と現金の流れは別物だからです。
売上を計上しても、入金が何か月も先なら、その間は現金が手元に増えません。
一方、仕入れや人件費、家賃は容赦なく毎月出ていきます。

このズレが、資金繰りの悩みを生むんです。

資金繰り改善の基本ステップ

1. 入金サイクルを早める

  • 新規取引先は前金や短期の支払条件で契約
  • 請求書は即日発行、送付方法も電子化
  • 売掛金の回収をルール化(督促は日程と担当を決める)

入金が1か月早まるだけで、年間の資金繰りは大きく変わります。

2. 支払いを後ろ倒しにする

  • 仕入先との支払条件交渉(例えば30日→45日へ)
  • クレジットカードやリース契約を活用して支払期限を延長
  • 年払い→月払いなど、資金負担の平準化

ただし、延ばしすぎて信用を失わないよう、信頼関係の維持が前提です。

3. 在庫を適正化する

  • 売れ筋商品は在庫切れを防ぎつつ、過剰在庫は処分
  • 季節商品や資材はピーク前に仕入れすぎない
  • 棚卸しは最低でも年2回行い、資金化できるものを見極める

在庫は「眠っているお金」です。現金化できれば資金繰りは改善します。

4. 資金調達の選択肢を持つ

  • 銀行融資の枠を確保しておく(必要な時にすぐ使える状態に)
  • ファクタリングや売掛債権担保融資など短期資金の手段を知る
  • 補助金・助成金制度も常に情報収集

「お金が足りない!」となってから探すのでは遅いので、平時から準備しておきましょう。

現場のちょっとした工夫が大きな差に

資金繰りは経理だけの仕事ではありません。
営業が契約条件を工夫すれば、入金は早まり、購買や現場が在庫管理を徹底すれば、出金を抑えられます。
全社で「お金の流れ」を意識することが、最大の改善策です。

最後に

資金繰りは、利益よりも先に会社を守る“命綱”です。
ポイントは、入金を早める・支払いを遅らせる・在庫を減らす・資金調達ルートを持つの4つ。
これらを習慣化すれば、急な支払いにも慌てず対応できる企業体質になります。

資金繰りに悩む時間を、未来の成長戦略に使えるように——
それが、私が企業研修やコンサル現場で一番大事にしている視点です。

SNS、 #慎一のマネー講座 でも、こうした実践的な資金繰り改善のヒントを発信していますので、ぜひチェックしてみてください。