【金利上昇への備え】“資金コスト”で転ばないための3つの視点

2025年8月14日

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芹沢慎一

こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。

ここ数年、歴史的な低金利が続いてきましたが、世界的なインフレや金融政策の転換により、金利はじわじわと上昇傾向にあります。
借入金を抱える企業にとって、金利の上昇は静かに迫るコスト増。気づいたときには、利益を圧迫する“見えない波”になっていることもあります。

今日は、私が支援した B社(機械部品メーカー) の事例を通じて、中小企業が現実的にできる金利上昇対策をご紹介します。

利益を削った0.5%の上昇

B社は社員80名の製造業。国内大手メーカーとの長期取引で安定した売上を確保していましたが、設備更新のための借入金が約3億円。
当初は固定金利1.0%で5年契約でしたが、追加融資分は変動金利で契約。

ところが市場金利の上昇に伴い、変動部分の金利がわずか0.5%上昇。
「0.5%くらい」と軽く見ていたところ、年間利息は150万円以上増加。営業利益の3%が一気に消えました。

金利上昇への3つの備え

  1. 固定化戦略の活用
     低金利のうちに借入の一部または全部を固定金利へ切り替え、返済額を安定させる。
     B社では長期資金の7割を固定化し、残り3割を変動のまま残して将来の低下局面にも対応できる“ミックス型”に。
  2. 繰上返済の計画化
     余剰資金や一時的な利益を活用して、金利負担の大きい借入から優先的に返済。
     B社は棚卸資産の適正化で捻出した資金を、変動金利ローンの繰上返済に充て、年間利息を約50万円削減しました。
  3. 銀行交渉と条件見直し
     複数の金融機関に相談し、条件変更や借換の提案を受ける。
     金利上昇局面では、金融機関側も長期契約や保証条件見直しを提示してくれる場合があります。B社は借換えによって金利を0.2%抑えることに成功しました。

B社の成果

対策を実施した翌年度、B社は年間利息負担を前年比で約25%削減。
経営会議では社長がこう話しました。
「金利の波に飲まれる側から、舵を握る側に回れた気がする」

最後に

金利は企業にとって“空気”のような存在——普段は意識しないけれど、変われば一気に環境が変化します。

固定化戦略
繰上返済の計画化
銀行交渉と条件見直し

この3つの武器を持っておけば、金利上昇という予期せぬ逆風も、成長を加速させる追い風に変えられます。

“資金コスト”は避けられない波ですが、適切な準備があれば、その波を味方につけて前に進むことができるのです。

#慎一のマネー講座 もぜひお願いします。
今日も、お読みいただきありがとうございました!