【資金繰りは会社の“血流”】止まらせないための3つの改善策

2025年8月14日

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芹沢慎一

こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。

「黒字なのに資金が足りない…」
これは、中小企業の社長から最もよく聞く嘆きの一つです。

利益は帳簿上の数字、資金繰りは会社の血流。
利益があっても、キャッシュが不足すれば企業活動はすぐに立ち止まってしまいます。

今日は、私が支援した 卸売業B社 の事例をもとに、資金繰り改善のポイントを整理してみましょう。

黒字倒産寸前だったB社

B社は年商10億円規模の地方卸売業。
決算は黒字、売上も順調でしたが、仕入先への支払いサイト(30日)が、売掛金の回収サイト(90日)よりも大幅に短く、資金が常に不足気味。

ある月、売上の急増と同時に仕入も増加。
結果、運転資金が一時的に底をつき、金融機関への緊急融資依頼という事態に。

資金繰り改善の3つの切り口

1. 入金サイトの短縮

売掛金の回収を早める交渉は、資金繰り改善の即効薬です。
B社では主要取引先のうち、継続取引が長い5社と交渉し、一部取引を「60日サイト」→「45日サイト」に短縮。
月間で約1,500万円分の資金繰り改善効果が出ました。

2. 支払サイトの延長

逆に、仕入先への支払いを少しでも後ろ倒しできれば、手元資金を確保しやすくなります。
B社では、複数仕入先との契約更新時に「支払サイト+15日延長」を提案し、3社が了承。
これにより、月間で約800万円の資金余裕を創出しました。

3. 在庫回転率の改善

倉庫に眠っている在庫は、現金が形を変えただけの“寝ているお金”です。
B社では、売れ筋と不良在庫を毎月棚卸しで分類し、不良在庫は早期値下げ販売で現金化。
結果、在庫回転期間は70日→55日に短縮されました。

成果

これら3つの対策を同時に進めた結果、B社は半年で月間キャッシュ余裕額を約3,000万円改善
銀行からの短期借入に頼る回数もゼロになり、経営者は「数字の不安から解放された」と語っています。

最後に

資金繰り改善の本質は、「お金の入りを早く、出を遅く、眠らせない」 というシンプルな原則にあります。

  • 入金サイト短縮(血液を早く心臓に戻す)
  • 支払サイト延長(血液を末端に送るタイミングを調整)
  • 在庫回転率改善(血液を滞留させない)

会社の血流がスムーズになれば、多少の景気変動や突発的な支出にも耐えられる体力が身につきます。
数字の黒さより、資金の流れの健全さこそが企業の命を守ります。

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