こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。
今回は、私が訪問したある家庭で起きた「カード払いの落とし穴」についてお話しします。
キャッシュレス時代の今、ほとんどの方がカードやスマホ決済を日常的に使っていますが、そこには“見えない落とし穴”が潜んでいます。
「今月の支出はセーフ」の錯覚
相談に来たのは40代の会社員ご夫婦。
「現金はあまり使っていないので、支出は多くないはず」と奥さま。
ところが、銀行の明細を開くと来月のカード引き落とし額は32万円。
しかも、ご主人のカードでも別に11万円の引き落とし予定。
要するに、「今月の支出」は見えていなくても、「来月の支払い爆弾」がすでにセットされていた状態です。
現金払いとの大きな違い
現金払いは「その場で財布が軽くなる」ので、心理的なブレーキがかかります。
一方カード払いは、「今すぐ払わない」という安心感が、支出のハードルを下げます。
さらに困るのは、複数のカードや決済アプリを使っている場合。
引き落とし日や金額がバラバラだと、全体の支出感覚が鈍くなります。
導入した仕組み──「カードの現金化カレンダー」
そこで提案したのは、カード利用額をリアルタイムで“現金換算”して記録すること。
- カード払いをしたら即、家計アプリに「現金払い」として入力
- 月初に「今月引き落とし予定額」を全カード分まとめて可視化
- 締日ごとに残り利用枠を家族で共有
これで、「使った瞬間に財布が減る感覚」を再現しました。
家庭の反応──「カードは未来の借金だった」
2か月後、ご主人がこう言いました。
「カードは便利だけど、結局“未来の自分”から現金を借りているんだなと実感した」
結果、カード利用額は夫婦合わせて月10万円減少。
引き落とし前に“残高不足”を心配することもなくなりました。
最後に
カード払いは現金を持ち歩かなくてもいいという利便性がありますが、
その便利さが「支出感覚の鈍化」というリスクを連れてきます。
使うたびに「これは今月の財布から出ている」と意識できれば、
カードは危険な爆弾ではなく、頼れる相棒になります。
次回は「定額サービスは静かに家計を侵食する」を予定しています。
それではまた次回!