こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。
今回は、私が訪れたご家庭での“ポイント好き”が招いた意外な落とし穴についてお話しします。
結論から言えば、「ポイントを追いかけるほど、お金が逃げていた」という事例です。
「還元率○%」の魔法
相談に来たのは30代の共働き夫婦。
奥さまは自称「ポイントハンター」。
スーパーのカード、コンビニアプリ、ECサイトの会員特典まで、還元率を徹底チェック。
買い物の前には必ず「今は〇〇ペイがキャンペーン中だから…」と計算しているそうです。
聞く限り、非常に賢い買い物上手――のはず。
しかし家計簿を見せてもらうと、毎月の食費・日用品費が平均より2割高い。
調べてわかった“逆転現象”
レシートを集計すると、こんなパターンが浮かびました。
- キャンペーン中のスーパーで、ついまとめ買い
- 「〇〇円以上で〇%還元」に釣られて予定外の品を追加
- 還元率が高いサイトで購入したが、送料を含めると割高
つまり、「得するために使う額が増える」という逆転現象が起きていたのです。
導入した仕組み──「ポイントは結果論」
そこで提案したのは、買い物基準を“ポイント”から“必要性”へシフトすること。
- 欲しい物リストを事前に作る
- 購入先を選ぶときだけポイント条件を参考にする
- ポイントを“おまけ”と考え、使うタイミングも計画
さらに、毎月「ポイントで得した金額」と「余計に使った金額」を比べてもらいました。
家庭の反応──「ちょっと悔しいけど納得」
1か月後、奥さまは苦笑しながらこう言いました。
「ポイントのために動いてた自分が、なんだか企業の良いお客さんだったなって」
2か月目には、食費と日用品費が月6,000円減少。
しかもポイントは依然として貯まり続けていました。
「得してる感」を残しつつ、実際の支出も減らせたわけです。
最後に
ポイント還元は便利な仕組みですが、“使う理由”にしてしまうと逆効果です。
本当に必要な物を選んだ結果、ポイントが付く――この順番が正解。
お金もポイントも、追いかけすぎると逃げていきます。
落ち着いて、必要な分だけつかまえること。
それが、家計を守る一番の近道です。
次回は「カード払いが家計を揺らす日」を予定しています。
SNSにて #慎一のマネー講座 でも、お会いしましょう。