こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。
今回は、私が国内の中堅メーカーでお手伝いした、与信管理の改革についてお話しします。
舞台は北関東。取引先は全国に広がる食品パッケージ製造会社です。
「売れるのに、なぜかお金が残らない」
ある日、社長直々に呼び出されました。
「うちは受注も利益率も悪くない。なのに、資金繰りがいつもギリギリなんです」
調べてみると原因はシンプル。
売上の一部が“未回収”として宙に浮いている状態だったのです。
営業担当者は契約前の信用調査をほとんどせず、「以前も取引したから大丈夫だろう」と進めることもしばしば。
結果、支払いが遅れる顧客や、最悪の場合は倒産してしまう顧客も。
最初に着手したのは「見える化」
私はまず、過去18カ月分の売掛データを洗い出しました。
「どの顧客が何日遅れで入金しているか」 「回収不能になった金額はいくらか」を色分けした一覧表に。
これを壁に貼った瞬間、営業部の空気が変わりました。
なぜなら、“なんとなく”抱えていた不安が、数字として突きつけられたからです。
導入したのは「3段階の取引スタートライン」
ルールはシンプルに、そして現場がすぐ動けるようにしました。
- 事前審査の必須化
登記簿、業界信用調査、支払い実績をチェック。 - 暫定枠での試運転
新規顧客はまず少額・短期の契約から。 - 半年後の見直し
支払いが安定していれば枠を拡大、不安があれば条件を厳格化。
さらに、営業担当が商談の場で5分で判断できる「与信クイックチェック表」も作成しました。
現場は最初こそ渋い顔、でも…
導入当初は、営業からこんな声が上がりました。
「せっかく受注できそうなのに、枠が小さいとチャンスを逃しませんか?」
しかし、半年後。未回収額は42%減少。
営業も「回収業務に追われなくなって、本来の営業ができる」と笑顔になりました。
最後に
このプロジェクトを通じて改めて感じたのは、与信管理はブレーキではなく、長距離運転のためのシートベルトだということ。
売上は増えても、お金が手元に残らなければ、会社は前に進めません。
数字とルールで守られた土台があってこそ、安心してアクセルを踏める。
さて、ここまで付き合ってくれてありがとうございます。
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