【便利さの裏にある小さな穴 】 キャッシュレス生活の功罪

2025年8月13日

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芹沢慎一

こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。

普段は企業や自治体で「お金との賢い付き合い方」をお話ししていますが、今日はちょっと身近なテーマを。
先日、高校を卒業したばかりの娘の友人が、ふらりと我が家にやって来ましてね。
手には最新型スマホ、そして笑顔でひと言。

「芹沢さん、全部キャッシュレスにしたらめっちゃラクですよ!」

いやぁ、若い。
財布を持ち歩かないのが“普通”の世代になったんだなと、時代の流れを感じました。

事例:気づけば残高ゼロの大学生活

その友人、春から大学生になり、アルバイト代が入るとすぐチャージして使う生活。
コンビニもカフェも、サブスクも、全部アプリでポチッ。
レシートはほぼ見ず、アプリの残高だけを“なんとなく”見ている状態。

そしてある日、こう言うんです。

「今月、なんでこんなにお金なくなってるんだろう…?」

理由は簡単。
「支出の感覚がリアルマネーから切り離されていた」からです。
現金だと千円札が減るたびにちょっと心が痛むものですが、数字がスマホ画面で減るだけでは、その“痛み”が薄くなるんですね。

芹沢流ワンポイント:見える化の“ひと手間”をサボらない

そこで私が提案したのは、とてもアナログな方法。
「使った金額をその日のうちにメモすること」。

— え?アプリの履歴見ればいいじゃん?
そう思うかもしれません。
でも、自分の手で書く(あるいは入力する)という行為は、脳に“お金が出ていった”という実感を刻みます。
これは数字を眺めるだけでは得られない感覚です。

キャッシュレスの功と罪

誤解しないでいただきたいのですが、私はキャッシュレスを否定しているわけではありません。
むしろ安全性や利便性という点では大いに賛成です。

ただし、“便利すぎる”ことは時に“危険すぎる”にもなります。
たとえば、以下のような落とし穴には要注意です。

  • 小額決済の積み重ね(1回300円でも、月20回で6,000円)
  • サブスクの放置(使ってないのに毎月引き落とし)
  • 「ポイント還元」の過信(ポイント欲しさに不要な買い物)

最後に

結局、お金の管理というのは「数字」ではなく「習慣」の話なんですよね。
キャッシュレスはツールにすぎません。
道具を上手く使うも、振り回されるも、持ち主次第。

娘の友人も、今では週に一度、自分の支出を振り返る“お金タイム”を作るようになったそうです。
「最初は面倒だったけど、これやると残高が減らなくなった!」と、少し誇らしげに話していました。

では今回はこの辺で。またお会いしましょう!