【現場ドラマ】 「その契約、握手する前にちょっと待った!」与信管理セミナーで起きた逆転劇

2025年8月13日

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芹沢慎一

こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。

今日は、ある営業現場で起きた“冷や汗もの”の一幕をご紹介します。
数字や理屈だけではない、現場のリアルな与信管理の話です。

契約書の判子は、あと5分待って

それは、セミナーの最中に起きました。
会場は、地方都市にある老舗製造会社の会議室。
営業担当の佐藤さん(仮名)が、ずっと落ち着かない様子でそわそわしています。

講義の途中、彼がこっそり耳打ちしてきました。

「実は…午後イチに新規のお客さんと契約するんです。でも、ちょっとだけ相手の会社がよくわからなくて…」

契約まで、あと3時間。
私は「じゃあ、今やってるワークを本番に使ってみましょう」と提案しました。

その場で始まった“即席信用診断”

ワークのテーマは「新規取引先の限度額と支払い条件を決める」。
佐藤さんはノートPCを開き、相手企業のHPや公開情報を確認します。

「売上はそこそこ…でも、ここ数年の利益率が低いな」
「社長の経歴は…あれ?業界経験が短い?」

数字だけでなく、人の情報も大事にするよう促すと、彼はこう言いました。

「そういえば、訪問した時もやけに急かされたんですよね」

見えてきた“赤信号”

セミナーの他の参加者も巻き込み、ちょっとした“現場会議”に。
経理部の女性が口を開きました。

「この会社、うちの取引先一覧に昔あった気がする…倒産した関連会社とつながってません?」

場が一瞬、静まり返りました。
調べると、確かに親会社が数年前に経営破綻していた事実が判明。

佐藤さんの顔色が変わります。

「…危なかった。条件を詰めずに契約してたら、後で泣いてたかも」

契約条件は“攻め”より“守り”で

午後、佐藤さんは契約の席につきました。
ただし、その手には「支払い条件と限度額を明記した契約書」。

相手の担当者は少し渋い顔をしましたが、最終的には条件を受け入れました。
後から佐藤さんが教えてくれたのは、こんな話です。

「条件をはっきり伝えたら、むしろ向こうも安心したみたいで。おかげで、社長にも“よくやった”って褒められました」

教訓:信用は現場で守られる

この出来事を通して、参加者全員が実感しました。
与信管理は「経理部の仕事」でも「営業の足かせ」でもない。現場で信用を守るための武器なのです。

佐藤さんは最後にこう言いました。

「今日のセミナー、まさか午後の契約に直結するとは思わなかったです」

私も心の中で、「それが本当の与信管理教育だよ」と笑いました。

最後に

数字と人の両方を見て判断する力は、机上の知識だけでは身につきません。
現場で使い、現場で守る。それが与信管理の本質です。

これからも私は、こうした“生きた事例”を通して、企業の安全な取引をサポートしていきます。
#慎一のマネー講座 では、こうした現場の知恵も発信していますので、ぜひチェックしてみてください。