【事例紹介】 「その取引、本当に大丈夫?」企業向け与信管理セミナーの裏話

2025年8月13日

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芹沢慎一

こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。

今日は、ちょっと堅い話――でも眠くならない程度に、ユーモアも添えてお届けします。

きっかけは一通のメール

先日、ある中小企業の社長さんから、こんなメールをいただきました。

「新しい取引先が見つかったんですが…売って大丈夫か、ちょっと不安で」

ええ、もちろん相談を受けたのは私です。
「これは一肌脱がねば!」と意気込み、与信管理セミナーを社内で開くことになりました。

最初にお伝えしたのは「信用はお金より高い」

取引は現金即決ばかりではなく、「掛け取引」が多いですよね。
つまり、商品やサービスを渡して、後からお金をもらう――この形は便利な反面、回収できないリスクも抱えています。

私がまずお話ししたのは、信用こそ企業にとって最も高価な資産だということ。
倒産の多くは「売れなかった」よりも、「回収できなかった」ことが原因なのです。

「信用力診断クイズ」でアイスブレイク

いきなり財務諸表の読み方を解説しても、社員さんたちの目が半分閉じてしまいます。
そこで、こんなクイズを出しました。

Q: 「新規取引先を判断する上で、最も“見落とされがち”なポイントはどれでしょう?」

A. 過去3年分の財務諸表
B. 社長の人柄や経営姿勢
C. 取引先の主要顧客リスト
D. 支払い条件と回収サイト

…さて、正解は?

実は「B. 社長の人柄や経営姿勢」。
数字はもちろん重要ですが、経営者の姿勢は財務諸表の行間からは読み取れません。
海外で学んだ私の経験上、「数字は嘘をつかないが、語られる物語は人によって変わる」のです。

「限度は最初に線を引け」の実践ワーク

セミナーでは、参加者全員に「新規取引先の限度額と支払い条件を設定する」ワークをしてもらいました。

ある営業担当者は、「条件を最初に伝えるのは失礼かも…」と言っていましたが、ワーク後にはこう一言。

「むしろ先に決めておく方が、相手にも安心してもらえるんですね」

そう、限度は“お互いの安全地帯”を守るためのものなんです。

セミナー後の反響

終了後、社長さんからいただいた言葉が印象的でした。

「これまで“売れるかどうか”ばかり見ていましたが、これからは“回収できるかどうか”も同じくらい重視します」

心の中で私は、「ようこそ与信管理の世界へ!」とガッツポーズ。

最後に

与信管理は地味なようで、企業の存続を左右する生命線です。
「信用を見抜く力」を磨くことは、売上を伸ばす力と同じくらい大切。

これからも私は、数字と現場の両方から、企業の安全な取引を支えるお手伝いをしていきたいと思います。

SNSでは  #慎一のマネー講座 で、こんな身近で役立つ金融知識を発信していますので、ぜひ覗いてみてください。

それでは、次回もお楽しみに。読んでくださった方に、心から感謝を込めて。