こんにちは。
マネーリテラシー講師の芹沢慎一です。
本日は、私がシンガポールに駐在していた頃に関わった、ちょっとユニークなコンサルティング案件をご紹介しましょう。
当時、現地の日系中小企業(以下、A社としましょう)から、「海外の取引先との与信管理って、どこから手をつけたらいいの?」というご相談をいただきました。
要するに、「信用って、どうやって測るの?」という話です。
そもそも与信管理ってなんだ?
簡単に言えば、「この相手に“ツケ”で商品を売って大丈夫か?」を判断する仕組みです。
たとえば、あなたがラーメン屋を経営していて、常連の太郎さんに「今度払うから」と3回連続で言われたら… そろそろ“与信管理”の必要が出てきます(笑)
企業間取引でもこれは同じ。特に海外取引では、支払いが滞れば、回収も困難です。A社もまさに、支払い遅延で痛い目を見た直後でした。
最初の壁 「やり方がわからない」
A社の担当者いわく、
「そもそも、うちは経理部門が営業と兼任なんですよ。与信なんて、考えたこともないです…」
…これ、実は中小企業あるあるです。
「やってない」じゃなくて、「知らない」のです。
そこで私が提案したのは、“Excelでできる、今日から始める簡易与信シート”。
最初から高機能な与信ツールを導入しようとしても、使いこなせなければ意味がありません。小さく始めて、大きく育てる。これが私の信条です。
“目利き力”のトレーニング
次に取り組んだのが、「支払い遅延の予兆」を読み取る目を養うこと。
たとえば、こんなシグナル
- 納品書への問い合わせが増える
- 支払期限の確認連絡がなくなる
- 担当者が頻繁に変わる(地味に重要)
これらはすべて、“風邪の初期症状”のようなもの。無視していると、経営インフルエンザを発症しかねません。
A社の担当者たちには、そうした“空気を読む与信感覚”も身につけてもらいました。ビジネスは結局、人対人なのです。
約半年後――
改善プランの導入から半年。A社では、支払い遅延率が前年度比で42%減という成果が出ました。さらに、社内で“与信管理”という言葉が日常会話に登場するようになったとのこと。
担当者からのメールにはこう書かれていました:
「慎一さん、“信用”って、意外とロマンありますね!」
…いや、それは初めて聞いたけど(笑)、嬉しいじゃありませんか。
最後に
与信管理は、銀行や大企業だけの話ではありません。
「貸しても大丈夫な相手かどうか」を見極めるのは、商売の基本。ラーメン屋も、IT企業も、海外にある鉄鋼商社も、やるべきことは本質的には同じです。
これからも、私は「金融ってちょっと苦手かも…」という方の味方でありたいと思っています。
#慎一のマネー講座 でも、日々わかりやすく金融を語っていますので、よろしければそちらもぜひ。
それでは、今日はこのへんで。
温泉でのんびり読んでくださった方がいたら…最高です。